国際協力サロンの代表を務める田才諒哉さんは、大学時代に青年海外協力隊や海外NPOのインターンを経験した後、民間企業やNGO、国連など様々な団体を渡り歩いてご活躍されてきた。そんな田才さんの国際協力の形は「現地の人一人一人と向き合いつつも、裏方に徹する」ことであった。高校時代や大学の初めはいたって”普通の”学生だったという田才さんが国際協力の道に進んだ理由とは。第二部では学生時代のお話から、田才さんの行動力の原点を探る。
偶然の出会いから国際協力の世界へ
ーーどのような学生時代を送っていたのですか。
「新潟出身の田舎の公立高校出身なんですけど、特段変わった教育を受けてきたわけじゃなくて。高校時代は将来国際協力をやろうとか全く考えていなかったですね。部活でサッカーをして、バイトもして、学校に行って、勉強して。普通の高校生活を送っていました。大学行ってからも最初の頃は本当に国際協力とかに関心がなくて、普通の大学生活を送っていたなと思います。」
ーーいつから国際協力に関心を持たれたのでしょうか。
「大学2年生でゼミを選んだ時です。そのとき一番仲の良かった友達が国際協力のゼミに関心があると言って、説明会に行くと言ったのでそれにたまたまついて行って。そのときの先生に話を聞いたら、自分が想像していたよりも国際協力というものが面白そうだな、と思いました。そのときの直感で国際協力のゼミに入って勉強し始めたら、本当に自分の知らない世界が広がっていて。」
「最初の頃に児童労働の問題とかストリートチルドレン、教育の問題に関する論文や本を読んだんですけど。自分が今まで高校や大学最初の頃まで全く意識もせずに生きてきたという、そのギャップが大きかったですね。もっと知らなきゃいけないと思ったし、知りたいと思ったので、何よりも一番にまず現場に行ってみたいっていう気持ちが生まれてきました。」
「そこで大学のプログラムでパラグアイとかフィリピンに行かせてもらったり、あるいはもう自分自身で協力隊に応募しちゃって、学生時代に協力隊に行く機会もいただいたり。少しずつ現場に行く機会も得たりしながら、国際協力っていうものを仕事にしていこうかなっていうのが大学を卒業する頃ぐらいにようやく決心が固まったのかなと思います。」
自分が全く知らなかったという国際協力の世界に強く惹かれ、積極的に行動を起こし始めた田才さん。直感を信じて国際協力のゼミに入り、その後は青年海外協力隊や民間企業、NGO、国連など幅広い場所でご活躍されてきた。その行動力の源はどこにあるのだろうか。
行動力の源は、新しい学びへの期待感
ーー様々なことに挑戦できるフットワークの軽さや、瞬発力の原点はどこにあるのかをお伺いしたいです。
「元々は別に自分自身フットワークがすごい軽かったわけではないなと思っていて、国際協力とか関心なかった時とかもどちらかというと自分はコンサバティブな方だったと思っています。」
「けれど今まで色んな行動を起こした結果、全てがいいことだったわけじゃないかもしれないですけど、色んなご縁ができたりっていう経験がありました。とにかく何か行動を起こすといい方向に物事が動くことも多いなっていうのを身をもって体験しているので、フットワーク軽くいられてるんだろうと思います。」
ーー今まで多くの組織でご活躍されていらっしゃいますが、一度やめて新しいことに挑戦することに恐怖を感じたことはありますか。
「あんまりないかもしれないですね。ゼロとは言わないんですけど、好奇心の方がまさっていたかなという気はします。新しい世界のことを知れるとか、新しい学びがあるだろうなという期待感みたいなところの方が常に上回っていたなと思いますね。」
ーー国際協力を続けるにあたって、ご自身の原動力やモチベーションは何でしょうか。
「日本語で仕事するわけでもないし、自分とは違う考え方を持つ人の多い環境の中で日本と全然違うやり方を取ったりして、仕事自体のハードルはすごく高いです。だけど、そんな複雑で難しい課題に取り組めてる状況が面白いし、学びにもなってるんです。」
「アフリカの現地のスタッフとご飯食べながらしょうもない話をしてたりする瞬間もすごく好きだし、そういうことをしたいから現地行きたいなとも思ったりもします。そんなに大した話でもないけど、これまで国際協力をやってきた8年間でそういう瞬間に出会えてきたので、今後もこの仕事を続けている限りはそういう経験ができると思ってます。」
私たちと同じ普通の学生時代を送っていた田才さんだが、直感から国際協力の世界に足を踏み入れ、次々と行動を起こしてきた。全てが良い結果になることはないものの、何か行動を起こして物事を動かすことの重要性を田才さんは語って下さった。行動する前は不安ばかりが募ってしまうものだが、一度行動を起こせば次第に身の回りの環境は変わっていくかもしれない。好奇心に身を任せ、初めの一歩を踏み出してみることも時には必要だろう。
第三部では、田才さんが代表を務める国際協力サロンや、未来の国際協力の形についてお話を伺った。世界の遠い場所で起きる問題に対して、私たちにできることを見つめなおしたい。
【インタビュイー:田才諒哉さん】
1992年生まれ。青年海外協力隊、民間企業、国連など様々な舞台で国際協力に携わる。2018年には国際協力に関心のある人々が繋がるコミュニティ、国際協力サロンを創設。現在はNGOササカワ・アフリカ財団でアフリカの農業支援に関わっている。
国際協力サロンHP:https://kk-salon.com
ササカワ・アフリカ財団HP:https://www.saa-safe.org/jpn/
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