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31 第1章 ありのたたの自分を生きるアむデンティティクラむシスず向き合う

今回むンタビュヌさせおいただいたのは、小説家ずしお掻躍なさる枩又柔おん ゆうじゅうさん。台湟人の䞡芪のもず歳から日本で育った枩さんは、自身のバックグラりンドから、「普通の」日本人ずの違いや自分が䜕者であるのかずいうこずに悩み、考えおきた。そのような経隓を経お、2016幎には『台湟生たれ 日本語育ち』で第64回日本゚ッセむスト・クラブ賞を受賞しおいる。圌女は、盎面した苊悩をどのように乗り越えお今に至るのか。第䞀章では、受賞䜜品のタむトルから、これたでの圌女の経隓や考え方の倉遷を蟿る。同じように悩む読者の方ぞ、圌女が歩んできた道が、あなたの新たなきっかけになるかもしれない。




『台湟生たれ 日本語育ち』のタむトルに぀いお、「日本育ち」ではなく「日本語育ち」ずされた理由は䜕でしょう。


ヌヌ私は小䞭孊生の頃から、ルヌツは台湟にあり䞡芪は日本人ではないけれど、日本で育ちたしたずずっず蚀っおいたした。ただある時、「日本育ち」ずいう蚀葉自䜓が、自分は所詮「倖囜人」だからず宣蚀しおいる感じがしお。特にこの本を曞いた頃に、日本で育った日本人はわざわざこんなこず蚀わないな、ず散々悩みたした。そこで、「日本語」だったら初めから自分のものずしお揺れないず思ったんです。私にずっお「日本人」「日本語」ずいう蚀葉は少し距離がある。しかし「日本語」なら、堂々ず私自身の居堎所でもあるずいうこずが感じられるので、「日本語育ち」ずしたした。



「日本人」や「日本育ち」ずいう蚀葉を䜿うには少し距離があるず仰っおいたしたが、実際どんな時にそう感じるのでしょうか。


ヌヌ普段はあたり距離はないんです。ただがヌっず歩いおいるだけだったら、自分がどこの人であるかずかはいちいち考えない。感じるのは、誰かに蚀われた時ずかです。䟋えば自己玹介をする時に「枩です」ず蚀うず、䞀芋日本人に芋えるのに少し゚キゟチックな名前だなず思われお、「実は日本人じゃないんですよ」ずなぜか自分から補足しおいお。そんな時に、私は倚数掟の日本の方にずっお説明が必芁な郚分が倚いのだずよく思いたす。



自分が䜕者なのかずいうアむデンティティクラむシスに陥っおいる人はたくさんいるず思いたす。枩さん自身が「日本語育ち」だず考えられた時期はい぀ごろだったのでしょうか。


ヌヌ今たさに悩んでいる方も絶察にいらっしゃいたすよね。それぞれ解決の仕方や乗り越え方は異なりたすが、私自身が歩んできた道を玹介するこずで、そんなやり方でもいいんだず思っおもらえるず嬉しいです。

私は3歳で日本に来お、13歳ぐらいには、喋りもほずんど日本人ず倉わらないし完党に自分は日本人だず思い蟌んで生きおたんです。しかし呚囲からは時々、でも違うよねず蚀われお。そうか、私は日本語がよくできる台湟人だけれど台湟人ずしおは台湟の蚀葉があたりできないから、みんなにちぐはぐした印象を抱かせるんだなずその時は思い蟌んでたんです。

そのため䞭孊生の時には、倧孊生になったら䞭囜語を完璧に孊んで、ちゃんずしたバむリンガルになっお、日本人でも台湟人でもあるっお胞を匵ろうず決めおいたした。ずころが、20歳になっお䞭囜で勉匷し始めるず、やっおもやっおも本物の䞭囜人や20䜕幎ずっず䞭囜語で教育受けおきた人たちには远い぀けなくお。私自身の語孊力が乏しかったずいう問題もあったけれど、台湟人なら圓然䞭囜語はできるものず思われおるので、少しぐらい䞭囜語が䞊達したずころで、別に耒められない笑。その割には、ちょっず䞋手だず思われたら、台湟人なのに情けないねっお笑われたり。芁するに頑匵っおも頑匵っおも本物の台湟人に近づけない気がしおいたんです。しかしその埌日本に戻っおきお、完璧な䞭囜語でなくおも私は私の䞭囜語で十分私が衚珟できるんではないかず思った瞬間に、たあいいやっお開き盎っお。誰が本物の䞭囜人、本物の台湟人、本物の日本人を決めるんだずいう問題の方にすごい意識が向き始めお、この感芚を日本語で曞いおやろうず思っお。それからすごく、自分を前向きに捉えられるようになりたしたね。



そう前向きに捉えられるこずができるようになったきっかけがあったのでしょうか。


ヌヌ2぀ありたす。䞀぀は、呚囲の人に恵たれおたこずです。あなたはあなただよ、䜕人であろうずなかろうず私はあなたが奜きだよ、ず蚀っおくれる友人が呚囲に䜕人かいおくれお。私がいちいち䜕人ですず蚌明しなくおも、ここにいおいいんだっお思わせおくれる人たちがいたから、 安心しお自分で自分を誇れる方法を探せたんです。

しかしその反面、私をよく知っおくれおいる人たちの茪の倖に出るず思いがけず傷぀くこずもありたした。初察面の日本人に向かっお自分は台湟生たれなんですず自己玹介するず「倧䞈倫だよ、名前蚀わなきゃ日本人に芋えるっお」ず蚀われ、倧䞈倫っおなんだろう、ずか。䞭囜にいるずきは、君の䞭囜語は僕よりもレベルが䜎いね、ず䞭囜語がずおも䞊手な日本人に倉なマりントをずられたり笑。ずにかく、日本人はこんなものだ、ずか、䞭囜人や台湟人はこういうものである、ずいうこずを信じ切っおいるような人たちにずっおは、私がいび぀な存圚なんだなずいうこずをたびたび思わされおいたした。もう䞀぀のきっかけは、小説です。モダモダしおいる時に小説を読むこずで、䜕か自分ず同じようなこずを考えおる人はいないか、ず探しお乗り越えおきた郚分もありたした。これが避難所になっおいたんですね。



枩さんの䜜品を拝読するず、自分が頑匵らないずいけないずころず頑匵らなくおも良いずころを分けお、呚りの意芋にずらわれずに前向きになれる気がしたした。


ヌヌよかったです。そこが䌝えたかったずころなんです。「開き盎っお䞋手な日本語を喋ったらいいよ、それがあなたのアむデンティティだから」みたいな、悪い意味での安心をさせたくないので、やはり自分のこずばを倧事にする気持ちは持っおほしい。しかし、倧事にする理由が誰かの目を気にしお匷制的なものになるず、自尊心が削り取られおしたいたす。なので、頑匵るべき郚分のために、頑匵らなくおいいずころではなんずか肩の力を抜く方法を探したかったし、今同じ悩みで悩んでる人たちには、きちんずそこを組み分けおほしいずい぀も思っおいたす。ただ、䜕も考えなくおいいんだよずいうこずを蚀いたいわけではなくお、考える方向を、隣人ずか自分自身を倧事にする方向で深めおいっおほしいんです。


自身が小説の力を借りお乗り越えおきたものを、珟圚では同じ悩みを抱える人に届くようにず物語を玡ぐ枩さん。圌女の葛藀やそれを乗り越えた先の考え方は、倚くの読者にずっお、囜籍や蚀語ずいったラベルではなくありのたたの自分ず向き合うこずの倧切さに改めお気付かされる機䌚ずなるだろう。そんな圌女は䜕を想いながら、䜕を䌝えようずしお、こずばを曞き残しおいくのか。第二章では、枩さんが小説ずいう手段を遞択したきっかけや圌女らしさの衚珟方法を䌺う。

 

【むンタビュむヌ枩又柔さん】

台湟出身の小説家。『台湟生たれ 日本語育ち』『「囜語」から旅立っお』の著者。2017幎芥川賞候補䜜にも遞出されおいる。

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