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代表挨拶
代表 石塚 稜平
みなさん初めまして。S.A.L.ロヒンギャプロジェクト代表の石塚稜平と申します。
当プロジェクトでは「在日ロヒンギャの子供たちに夢を叶える力を」をモットーにし、
対面・オンラインの学習支援やキャリア支援を行っています。
”ロヒンギャ”はミャンマーラカイン州を原住地とする少数民族とされています。1900年
代前半から現在に至るまで、宗教・言語等の問題が原因でミャンマーの中央政府に迫害
を受けてきました。ロヒンギャの多くは故郷を追われ、世界中に離散してしまいました
が、その一部が日本にも居住しています。移住先となった日本での暮らしも、決して楽
とは言えません。彼らは気候も言語も文化も違う土地で働き、時には子供を育てている
のです。毎日生きていくので精一杯で、既存の日本社会と分断されている方も少なくは
ないのです。しかしながら、この現状はロヒンギャだけでなく日本にとっても良いとは言えません。ロヒンギャ民族の人々は社会で活躍できず、日本社会の側も貴重なムスリム・ムスリマの人財を失っているといえるでしょう。われわれの目標は両社がwin-winの関係で結ばれることです。そのためにはロヒンギャの未来を担う次世代の子供たちが夢を持ち、そしてそれを自らの努力で実現できる環境を作り上げることが必要です。彼ら一人ひとりの自己実現が社会問題を解決する鍵となるのです。彼らが目標をみつけ、正しい方向で努力するためにサポートしていく、それが我々の教育支援です。
教育支援活動を始めてから2年程が経ち、対象とするロヒンギャの子供たちの数も大幅に増加しました。大学生と子供たち、そして保護者の間に時間をかけて信頼関係ができあがってきた証拠です。我々の活動はボランティアで、生徒との間にお金のやりとりは発生しません。だからこそ、決して一方的に勉強を教えて終わりではなく、共に遊び、共に食卓を囲み、共に悩んだり、喜んだりすることが出来るのです。一過性のある関係ではなく、継続して子供たち一人ひとりと向き合えるのが我々の強みです。
ここからはより具体的なプロジェクトの活動についてご紹介します。
1つ目は対面学習支援です。月に2回ほど実際にロヒンギャの暮らす群馬県館林市にお邪魔して、実施しています。館林市が運営している公民館を利用させて頂き、土日で合計6時間以上子供の勉強時間をとります。小学生〜中学生を対象にした集団授業では、各教科のカリキュラムも独自に設定しています。高校生には個別指導を実施し、一人ひとりの苦手に向き合っています。宿題も設定し、授業の復習が自分たちでできるようにしています。授業終了後は一緒に遊び、楽しみつつも関係構築をおこなっています!
2つ目はオンラインの学習支援です。特にやる気のある中学生以上の生徒を対象にし、週に1回は苦手分野・対面授業の復習を行っています。さらに、英単語など普段の暗記学習のペース管理もオンライン授業の役割です。ひとりの子供にメンターと呼ばれる大学生の担当者を2~3名程度つけています。大学生の負担も考慮しながら、毎週一回は確実に学習のフィードバックをもらえる機会を設けています。
3つ目は企業見学です。我々のめざすものは、子供たちが夢を持ち、実現出来る環境をつくること。そして夢を持つためには、子供自身が視野を広げ、選択肢を増やすことが大事です。そのための具体的な手段がこの企業見学です。色々な職種を知り、自分の目標をつくるきっかけ作りになるのです。
我々の理念に共感していただける企業様にご協力いただき、一日かけて実際の仕事内容や社員の皆さんが普段の生活の中で感じていることを子供たちにお伝え頂いています。
ただしボランティア活動には限界もあるというのもまた事実です。館林までの交通費など、資金面での不安はどうしてもついてまわります。
今後も子供たち、ロヒンギャの家庭からお金を取らないという方針には変わりがありません。むしろ、共に子供たちの夢のために尽力してくださるパートナー様を探しています。もちろん、プロジェクトが企業様にとっての利益ももたらせる様に考えています。
CSRだけではなく、在日ムスリム向けの市場調査などコネクションがある我々ができる仕事も企業様のためにしていきたいと考えています。まだまだマネタイズ面では改善の余地があると思いますが、同じ志をもつ企業様とともに、明るい未来を目指して歩みたいと思います。
ロヒンギャ民族とは
ロヒンギャとは、主にミャンマー西部のラカイン州に暮らす約200万人のイスラム系少数民族のことを指します。国籍を持っておらず、1970年代から数十年にも渡って差別と激しい迫害に苦しめられ、多くの人が国外に逃れてきました。
その多くは、バングラデシュに難民として避難し、難民キャンプで暮らしています。
このように、差別・迫害が起こった理由は主に3つあります。
1. 宗教問題
ロヒンギャ族は、イスラームを信仰しています。一方、ミャンマーは上座部仏教の国です。イスラームは様々な要因で修正率が高いことから、それによる人口増加でミャンマー国内での民族割合が高まるのではないかという危機感があるそうです。
2. 言語問題
ロヒンギャの母国語である、ロヒンギャ語はベンガル語の方言であるため、ビルマ語を上手く話せません。このことへの嫌悪感もあります。
3. 民族問題
ミャンマー国内では、ロヒンギャはバングラデシュからの不法移民であると認識されています。そのため、「ロヒンギャ」などという民族名称をでっち上げ、ミャンマー土着の民族を名乗っていることへの嫌悪感です。
以上の背景から、現在もロヒンギャ武装勢力とミャンマー治安部隊の衝突が断続的に行われており、その度に死者が出るなど、状況が悪化しています。
バングラデシュ・クトゥパロンにある難民キャンプの様子
理念
そんな彼らに対して、私たちにできることはないだろうか。
そんな思いから、写真展・ドキュメンタリー映画制作を通して、ロヒンギャ難民に関する発信活動を続けてきました。
2021年以降は、発信活動も加え、日本に在住するロヒンギャの子どもたちに対する教育支援も行っています。