“国内問題を「自分事」に。”
これが、あじさいプロジェクトの活動コンセプトである。
そんな私たちの今年度第1回目の勉強会テーマは、「子供の貧困」だった。
フジテレビ系にて毎週火曜よる9時から放送されていた、テレビドラマ「青のSP」。
このドラマの第7話でも、とある生徒の貧困状況や家庭内問題が描かれており、リアルタイムで視聴していた私は大きな国内問題として関心を寄せていた。
今回の勉強会ではまず、そもそも貧困とは何かというテーマから始まった。
ニュースや新聞で何度か目にしたことはある「相対的貧困」と「絶対的貧困」の違い。
よくそれぞれの定義を混同している人もいるようだが、「相対的貧困」とは、ある国・地域の中で、平均的なレベルよりも著しく低いレベルの貧困のことを指す。
対して「絶対的貧困」とは、食べ物がない、家がないなど人間としての最低限の生存状況を欠くような貧困のことだ。
そして多くの人が貧困と聞いてイメージするのは「絶対的貧困」の方かもしれない。しかし、「相対的貧困」こそ、社会の中で可視化されにくく、日本でも深刻な問題となっている。
次に、数値から知ってみよう!とのことで、クイズ形式で学んだ。
例えば、ひとり親家庭の相対的貧困率は何%か、という問題。
今回のファシリテーターが作成したクイズの選択肢は最低が約20%、最高が約65%となっており、約65%という回答が多数派だった。
しかし結果は約50%と、予想とは異なる数値だった。
ただ、ひとり親だからと言って元々親が裕福な家庭もあるし、全てのひとり親世帯が生活に苦しんでいるわけじゃない、という話があった。
今考えると当たり前のことだが、いかに自分が固定観念によって柔軟な発想ができていないことに気づかされた。
また、日本の母子家庭のうち、「無職者の貧困家庭よりも、有職者の貧困家庭の方が比率が高い」という新たな事実も知り、数値だけでなく知識の裏付けをすることで、しっかりインプットされた。
では原点に立ち返ってみよう。そもそも、どうして子供の貧困が問題なのか?
第一に考えられるのは、「貧困の連鎖」である。
残念ながら、親の収入が少ないことは子どもの教育や進学・就職にマイナス影響を与えてしまう。
すると子どもが親世代となった後も、収入は不安定となり、結果的に負の連鎖が起きてしまうのだ。
もちろん、子どもの貧困を解決するために、国や地方自治体が、さまざまな角度から支援を行っている。
今回は、まずこのような現状の一部を知ってどんなことを感じたか。
心の葛藤や気持ち、他にも個人で何ができるかなど、最後にみんなでシェアし合うことにした。
誰かが話し、他のメンバーは真剣に頷きながら耳を傾ける。
1人が話すともう1人が言葉を繋ぎ、1人では言葉に表せなかったこともこの空間ではみんなで共有できた。
話が膨らんでいくと、全員の中にある共通した問題意識があった。
それは、「世界観の共有」が必要だということだった。
具体的には、私たちが今住んでいる場所や育ってきた環境。
これらは実は、今までの生活や価値観、過去に選んできた選択肢に大きな影響を与えているのではないかと。
だからこそ私たちは、その環境に浸ってばかりではいけない。
問題を抱えている人の環境を知り、少しでも認識を擦り合わせていかなければならない。
これが私たちに共通した問題意識であり、解決のためにできることだと考えた。
他にもいろんな意見が出たが、1つ今後のプロジェクト活動において重要な考え方が共有された。
この話し合いの中で、日本の社会構造に関する指摘があった。
もちろん、しっかり学んだ上でそのような意見を言えることは素晴らしいことだ。
しかし、資本主義がどうだ、社会主義がどうだ、日本の政治は……
このような議論というものは時にヒートアップしやすく、にもかかわらず、最終的かつ現実的な解決には辿りつかないことも多い。
そこでプロジェクトPCが伝えたのは、「主語を大きくしすぎないこと」。
国や思想など、大きなことに任せるのではなく、できるだけ小さな主語で語る。
そうすることで、私たち一人一人ができることを見つける糸口となるのではないかとのことだった。
今回の勉強会の参加メンバーは、将来記者やメディア業界志望など、伝える仕事がしたいメンバーが多かった。
だからこそ、まずは一人一人が持っている世界観を少しずつ広げるとともに、自分とは違う他者の世界を知る努力しなければならないと感じた。
問題解決には救われる側と救う側、そして伝える側全員の認識をすり合わせることが重要なのではないだろうか。
勉強会を終えて、より一層メンバーと話し合う機会を大切にしていきたいと感じた。
次回の勉強会は、「同性婚から考える憲法改正」をテーマに開催する予定だ。
【ライター:伊東美優】
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