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【HearToプロジェクト】#8「興味を持ったことにどんどん挑戦してみる」久岡和也さんが語る ”Connecting the dots” の姿勢

聞き手:曽根京香、峰島友梨

記事編集:阿部翔太郎

新型コロナウイルスの感染拡大が続き将来への不安を募らせる学生が増えている中で、同世代の学生のために、私たちができることはないだろうか。そんな想いから、この企画では実際に社会の様々な分野で活躍する方々に『ターニングポイント』をテーマにインタビューを行い、学生の自己実現を支えるヒントを探っていく。

今回のインタビュイー様は前回に引き続き、一般社団法人ダンス教育振興連盟JDAC 代表理事の久岡和也さん

前回の記事では、様々な葛藤を抱えながらも駆け抜けた学生時代から、久岡さんのその後の人生を大きく左右するダンスとの出会いまでの経験をお話ししていただいた。

今回の記事では、運命的にダンスと出会った久岡さんがJDACを立ち上げられるまでの歩みと、将来に不安を抱く学生へのアドバイスについてお話ししていただく。サントリーを退職され起業という道を選ばれた久岡さんは、現在の学生が抱く就職や自己実現に対する不安についてどのようなことをお話しして下さるのだろうか。

【「ダンスとの出会い」に重なった、もう一つの偶然が久岡さんを動かす】

知り合いに紹介されて偶然出会ったダンスに心惹かれ、興味を持ったという久岡さん。そんな久岡さんがさらにダンスにのめり込みJDACを設立するまでには、もう一つの偶然が重なっていたと言う。

「高校生の大会をきっかけにダンスに興味を持つようになってから、ダンス関係者の方に色々と話を聞いて回っていたんです。その中で、『数年後に中学校でダンスが必修化される』ということを聞きました。たまたまそのことが話題になっていた時期にダンスに興味を持ったという点で、これもまた大きな偶然だったと思います」

「その必修化のニュースにはとても驚かされたんですが、それと同時に、『普通の中学校の先生が本当にダンスを教えられるのだろうか?』という疑問が僕の中に生じました。この問題を解決しなければ、必修化はうまくいかないのではないかと思ったんです」

【起業と社会貢献、ダンスで重なった二つの夢】

「そこで、せっかく出会ったダンスのために自分が何かできないかと考えた結果、学校の先生たちに『ダンスの教え方を伝える活動』をしようと思いつきました。その活動が上手くいけば、きっと先生たちも自信を持って教えられるでしょうし、何より実際に授業を受ける子供たちに良い影響が出ると思ったんです」

「そういった点に大きな社会的意義があると思い、JDACを設立して活動を始めました。ずっとやりたいと思っていた起業と社会貢献が両方できるということで、僕にとってはまさに最高の活動でした」

――当時はまだダンスがメジャーとは言えない状況の中でJDACを設立されたということですが、先行きについての不安などはなかったのでしょうか。

「僕と言うよりも、僕の母親がまさにそういった不安を強く抱いていて、JDAC設立については最後の最後まで猛反対されました。でも、僕は自分の意思を貫こうと強く思っていたんです。起業はずっとやりたいと思っていたので、その時には完全に腹をくくっていました

【「アウェーな雰囲気」にまさかの「炎上」 一筋縄では行かなかったこれまでの道のり】

自分の意思を貫こうという強い思いからJDAC設立の一年後にはサントリーを退職し、同団体での活動により一層力を入れたという久岡さん。しかし、その活動が現在のように多くの人に受け入れられるまでには、思いもよらぬ苦労があったそうだ。

「JDACを立ち上げた当時は、学校などの教育界からもダンス界からも『新参者』として見られて、すごくアウェーな雰囲気でした。しかも、2012年のダンスの必修化に合わせて、その前年である2011年にJDACを設立したので、『金儲けが目的の集団』という見方をされることもあったんです」

「JDACが少しづつ有名になってきた2014年には、twitterでいわゆる『炎上』をしたこともありました。『文科省から金をもらっている』など、全く身に覚えのないことをたくさん書かれて結構大変でした」

「でも、それだけ炎上したにも関わらず、不思議と私たちへの直接のクレームは一切なかったんです。だから、『大半の人は自分達の活動を受け入れてくれているのだろう』と、逆に自分の活動に自信を持てるようになったきっかけでもあったんです」

【大事にしたいのは「先入観」ではなく、「面白さ」を。社会貢献の方法は無限大】

ーー多くの苦労の末、現在は学校教育だけでなく、介護や地域の活性化など様々な領域でダンスを通じた活動を行っているとのことですが、今後はどのように活動を広げて行きたいと考えているのでしょうか。

「大前提として、これからも良い意味での『素人さ』を持ち続けていきたいと思っています。例えば、一見『ダンスと介護は関係のないもの』のように感じますが、そのような先入観を取り払って、『ダンスと何を結び付けたら面白くなるのか』という発想をどこまでも大事にしたいんです。そういった発想をもとに、ダンスで社会貢献するための方法をひたすら考えています」

「今年度の活動では、保育などの幼児教育とダンスを組み合わせていこうと思っています。ダンスをやると自発性が養われると言われているので、幼児期からダンスに取り組んでもらうことには大きな意義があるんです。私たちの活動によって、幼児期からシニアまで一気通貫してずっとダンスができる環境を作れればいいなと思っています」

<JDACのメンバーと久岡さん(中央)>

【溢れる情報に惑わされず、正しい判断を】

――それでは最後に、学生に向けて、今後の人生選択をするうえでのメッセージをお願いします。

「まず意識して欲しいのは、正しい情報を取るように努めることです。特に様々な情報が溢れているこういう時代だからこそ、余計に注意して欲しいと思っています」

「例えばコロナに関しても様々な情報が錯綜しています。不安を煽るようなテレビの報道に振り回されるのではなく、信頼できる情報をしっかり自分で調べてみて欲しいです。確かな情報を取ることで、正しい判断ができるようになると思います」

――情報ということで言うと、就職や会社についても十分な情報がなく、その実情を知らないままに就職を迫られると言う学生が多いように思います。

「確かに僕の就活のときも、そういう面はあったと思います。会社の表面的なところは見えても、『どの会社に入ったら自分の目標にとってプラスになるか』や、『この会社ではこういうことが勉強できる』といったことが想像できず、全く先が見えない感覚がありました

「ただ、現在は様々なアプリやサイトなどで、企業の中身や『想い』などを知れるようになっていると思うので、そういうものを使って自分のやりたいこととその企業があっているのかを、よく考えてみることが大切だと思います」

「就職は必ずしもゴールではないですから、やはり重要なのは自分のやりたいことをやるという意識だと思います。それと同時に、自分のやりたいことをしっかり言葉にして、他人に伝えられるかどうかも重要です。僕の就活の時も、自分の本音を面接官にぶつけるようになってから内定がもらえるようになりましたから」

【「興味があることをどんどんやってみる」その先に道が見えてくるから】

「最近は、『そもそも自分のやりたいことがわからない』という学生もいるようですが、そういう人はまず、自分が興味を持ったことにどんどん挑戦してみると良いのではないかなと思います」

スティーブ・ジョブズの ”Connecting the dots(点と点をつなぐ)”という言葉に示されているように、明確なゴールが決まっていなくても、興味を持ったことに一生懸命取り組んでいれば、自然とそれらが繋がって一つの道が見えてくると思うんです。」

「今日お話した通り、僕の場合も、最初から何か明確なゴールがあってそこから逆算してここまで来たというわけではないんです。大学生の時にサークルを立ち上げた経験や、サントリーで学んだ仕事の哲学、そして突然のダンスとの出会いといった、1つ1つの点に向き合ってきたからこそ、それらが自然と結びつき一つに重なって今があると感じています」

「もちろん不安なこともたくさんあるとは思いますが、若いうちはあまり深く考えすぎないで、積極的に行動してみて欲しいです。その先にきっと自分が進みたいと思える道がありますから


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今回は、インタビューの中で久岡さんのこれまでの歩みを伺いながら、モチベーショングラフを作成していただいた。そうして完成したモチベーショングラフがこちらだ。

このグラフをもとに改めて久岡さんの人生を振り返って見ると、野球サークルの立ち上げや、自分の本音をぶつけたという就活、そしてサントリーを退職してまでJDACの活動に尽力されてきたことなどから、久岡さんが常にご自身のやりたいことを追求してきたことが伺える。

特にモチベーショングラフの後半に注目すると、ある日偶然出会ったダンスから様々な人との繋がりを広げて現在のJDACを設立し、現在でも「ダンスと何を結びつけたら面白くなるのか」という発想を軸に活動を広げているという久岡さんの生き方は、まさに ”Connecting the dots” という言葉を体現していると言えるだろう。

そんな久岡さんの人生に迫る中で、自分の将来を明確にイメージすることができずに焦っていた私は、心の迷いが晴れた気がした。久岡さんがおっしゃっていたように、何か大きな目標や将来像が見えずとも、まずは自分が興味を持ったことに積極的に取り組んでみる。そんな前向きな姿勢を忘れずに、限られた学生生活を悔いなく過ごしていきたいと思う。

今回のインタビューは、新型コロナウイルスの感染拡大が続き将来への不安を募らせる学生が多くいる中で、様々な分野で活躍する方のお話をお伺いし、学生の自己実現を支えるヒントを探るという目的で行われた。久岡さんがお話ししてくださった、自分が興味を持ったことに積極的に挑戦していくというメッセージは、私と同じように、明確な将来像が描けないことに不安を募らせる多くの学生にとって、貴重なヒントとなるだろう。先行きが不透明な状況は続くが、この記事が一人でも多くの学生の自己実現の助けになればと思う。


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【インタビュイー:久岡和也さん】

大学卒業後、サントリー食品インターナショナル株式会社に入社。サントリー在職中にダンスに出会い、起業をしたいという強い思いから一般社団法人ダンス教育振興連盟JDACを立ち上げる。その後、同団体の活動の幅を広げ、現在は「教育」や「介護」など様々な分野で「ダンスを通じた社会貢献」に取り組んでいる。


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