【HearTo Polaris】良き第三者として世界と向き合う―山﨑琢磨さんが語る国際協力への覚悟
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今回Polarisイベントにご登壇頂いたのは、NPO法人アクセプト・インターナショナルのコミュニケーション局長である山﨑琢磨(やまざき たくま)さん。東ヨーロッパを一人旅した際にボスニア・ヘルツェゴビナで虐殺犠牲者の遺族と対面した経験を機に、当時学生NGOであったアクセプト・インターナショナルへ参画。現在は同団体にて日本を中心に講演活動を行っている。
運命の理不尽さに直面し、国際協力の世界に足を踏み入れていった山﨑さん。彼を突き動かす『芯』とは。日本という国からの国際協力についてや、国際協力を職業として見据えている大学生に対するアドバイスを伺った。

――日本という立場から国際協力に関わる際、「第三者」という概念をどのように捉えていますか。
山﨑 第三者という言葉は、中立や距離を置く立場を連想させます。ただ、私たちはあえて「良き第三者」という表現を使っています。紛争の当事者それぞれには、それぞれの正義があります。それを一方的に裁くのではなく、双方の主張を理解した上で、対話や妥協が生まれる余地を探る。そのための場をつくることが、自分たちの役割だと考えています。
――日本人であることは、「良き第三者」としての立場にどのように影響していますか。
山﨑 一定の影響はあります。イエメンでは政府関係者から、「もし日本人でなければ、別の意図を疑っていたと思う」と言われたことがありました。ただし、日本人であることだけで信頼が得られるわけではありません。最終的に問われるのは、アクセプト・インターナショナルが何を実際に行ってきたかです。我々には、ソマリアやイエメンでテロ組織と直接関わりながら若者の社会復帰支援を続けてきた実績があります。現地協力機関は徹底的に調べてきますから、「日本人だから」という理由だけでは対話は成立しません。国籍と実績、その両方がそろって初めて信頼が生まれます。
――山﨑さんは、大学卒業後NPOに就職されたと思います。進路選択にあたって、迷いや不安はありませんでしたか。
山﨑 不安は常にありました。ただ、決め手になったのはソマリアでの経験です。防弾チョッキを着用し、常に命の危険と隣り合わせの環境で活動する中で、重要であるにもかかわらず担い手がいない領域が明確に見えました。大学院で理論を学ぶより現場で実践を重ねたいと思い、決断しました。
――国際問題は規模が大きく、無力感を覚えやすい分野でもあります。山﨑さんが大切にしている『芯』は何でしょうか。
山﨑 「初志貫徹」だと思っています。続けること、やり切ることです。私はもともと現場を担当していましたが、現地で体調を崩し休職しました。帰国後の二年間は広報が中心となり、団体の存在を伝える役割を担ってきました。理想とは違いますが、それでも続けているという事実そのものが、自分の中では大きいと思っています。アクセプト・インターナショナルでは、毎年変化があります。もともと学生団体だったため、未熟な点や望ましくない文化もありましたが、少しずつ改善してきました。学生団体から組織へと移行する過程は簡単ではありませんが、ベンチャー企業のような試行錯誤があり、それ自体が面白さでもあります。 続けているからこそ、その変化を目にできる。辞めてしまえば、そこで終わってしまう。だからこそ、「試合終了」にしないことを自分の芯にしています。
――ご自身の覚悟を保つために、意識していることはありますか。
山﨑 周囲に言葉にして伝えることは重要だと思っています。「辞めない」「続ける」と公言することで、自分を見張られる立場に置く。友人にも伝えてきましたし、今日のような場で話すこともその一つです。 だから、皆さんにも見張っていて欲しい。本当に続けているのか、逃げていないかを。その緊張感があるからこそ、踏みとどまれている部分もあります。そうした覚悟の積み重ねが大切だと思っています。ネルソン・マンデラの「It always seems impossible until it’s done.(成し遂げるまでは、不可能に見える)」という言葉にも鼓舞されてきました。アパルトヘイトも、当時は変わらないと考えられていました。今の紛争も同じで、終わっていないからこそ、その解決が不可能に見えているのだと、自分に言い聞かせています。
――最後に、国際問題や社会課題に関心を持つ学生へアドバイスをお願いいたします。
山﨑 早い段階で自分の限界を決めないでほしい。現実的な選択は大切ですが、最初から線を引いてしまえば、その先の景色は見えません。続けていれば、状況は必ず変わる。辞めなければ、試合は終わらない。その感覚を大切にしてほしいです。
本イベントを通じて強く印象に残ったのは、山﨑さんが成功や理想だけでなく、自身の苦悩や葛藤を赤裸々に語って下さった点である。危険と隣り合わせの現場に身を置き続けることへの恐怖、批判への不安、それでもなお引き返さないという選択をした山﨑さん。また、理想を掲げるだけでなく、周囲から監視される立場にあえて身を置き、その実践に注力をするという彼の覚悟に、インタビュアーとしてもまた勇気づけられた。解決が不可能に見えるときこそ、問い続け、行動し続ける。その先にしか変化は存在しない。その極めて単純で、しかし最も困難な事実を、再認識した。
【インタビュイー:山﨑琢磨(やまざき たくま)さん】
NPO法人アクセプト・インターナショナル(https://accept-int.org/)コミュニケーション局長。
学生時代、東ヨーロッパ一人旅で訪れたボスニア・ヘルツェゴビナで虐殺犠牲者の遺族と出会ったことをきっかけに同団体に参画。現在は日本を中心に講演活動を行っている。







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